免疫介在性溶血性貧血(IMHA)とは
臨床的に基礎疾患や随伴疾患の有無により特発性や続発性に分類されます。続発性としてはリンパ腫や慢性リンパ性白血病や全身性エリテマトーデス、悪性腫瘍、ウイルス感染などによって見られます。
普段は外部から侵入してきたウイルスなどを攻撃する抗体が免疫介在性機序によって自分自身の赤血球を攻撃し破壊することで貧血が生じます。
症状
一般的に若齢から中年齢で発症すると言われており、赤血球が破壊されることによる貧血や黄疸、可視粘膜の蒼白や食欲不振などが見られます。また小さな血栓が生じることで全身循環に影響を及ぼす播種性血管内凝固が生じると死亡率も高くなります。
診断
血液検査による貧血の発症、血液塗抹による球状赤血球の出現、クームス検査等を組み合わせて診断していきます。
治療
溶血の阻止のための免疫抑制療法や血栓塞栓症の予防、貧血が重度の場合は輸血や脾臓の摘出手術などの外科的処置が選択されます。
たんたんちゃんのケース
野生の動物に襲われてぐったりしていると来院されました。 後ろ肢と鼻から出血しており、呼吸も荒く、かまれたショックのためか自分の赤血球を壊してしまう免疫介在性溶血性貧血にもなっていたので、輸血、点滴・注射の治療が行われました。 徐々に貧血も改善され、けがも治り元気に退院されました。
マロンちゃんのケース
急に元気がなくなり倒れたと連れてこられました。重度の貧血で、すぐにでも輸血しないと命が危ない状態でした。免疫介在性溶血性貧血という死亡率の高い病気だと分かりましたが、輸血処置や点滴、内服などで徐々に元気を取り戻し、免疫介在性溶血性貧血の治療に良く反応して元気に退院することができました。