猫の糖尿病
▸病態
猫の糖尿病はインスリンの不足やインスリン抵抗性により高血糖が生じ、さまざまな代謝異常を引き起こす病態です。肥満や膵炎、その他の原因(炎症性疾患、特定の内分泌疾患、食事性)で起こることが知られています。糖尿病は進行すると最悪、死に至る疾患でもあり、治療が必要とされる疾患です。
▸臨床症状
初期には多飲多尿、多食にも関わらず体重が低下する、などの症状が見られます。糖尿病が進行しケトアシドーシスを併発すると元気消失、食欲不振、嘔吐、下痢、脱水などの症状を引き起こします。
▸診断
血液検査において、持続性の高血糖が認められることや、尿検査で尿中に糖やケトン体が排泄されていることを確認します。
▸治療
治療法としては、基本的には外側からインスリンを補充することで糖の吸収を助けることが主な治療です。また、適切な食事管理も必要となります。治療開始時に猫の状態が悪い場合は、数日入院して体調を整えながらインスリン療法を開始していきます。その後は、血糖や猫の状態を見ながら自宅でのインスリン注射(病院で丁寧に指導します)を行っていただき、通院頻度やインスリン量などを決定していきます。
しかし、中にはインスリンの効果が見られない「インスリン抵抗性」の糖尿病が存在します。
その場合、その抵抗性を作る原因となっている疾患を見つけ糖尿病と並行して治療を行わないといけません。
猫の糖尿病の中には、食事管理や肥満の改善を行うことで、インスリンの治療が必要なくなるケースもあります。また糖尿病が比較的早期に診断され、身体のインスリン分泌能力が回復する見込みのある段階で治療を行った場合にもインスリン治療から離脱することが可能です。
ココちゃんのケース
元気がなく痩せてきたと来院されました。血液検査を行ったところ血糖値が高く、さらに詳しい検査を行った結果、糖尿病と診断されました。現在はご自宅でのインスリン注射によるコントロール治療で血糖値も安定し、元気に過ごしておられます。