▸病態
犬の糖尿病は中高齢以上で発症しやすいとされており、オスに比べて避妊していないメスに発症しやすいとされています。犬の糖尿病には基礎疾患が存在していることがあり、特発性膵島萎縮、膵炎、クッシング症候群などがあります。犬の糖尿病の多くがインスリンの分泌能が減少しており、それにより糖が細胞に吸収できない状態となり、高血糖となります。
▸臨床症状
症状としてよく見られるものとして、飲水量の増加、尿量の増加、食事量の増加、食事量の増加にも関わらず削痩することがあげられます。
▸診断
血液検査において、持続性の高血糖が認められることや、尿検査で尿中に糖やケトン体の有無を確認します。また血液ガス測定によってアシドーシスが生じているかの評価が可能です。
▸治療
治療をせずに症状が進行すると糖尿病性ケトアシドーシスとなり命に関わる状態となるため、早期に治療することをお勧めます。治療としてはインスリンを補填することで、糖がうまく体に吸収されるようにします。猫の糖尿病とは異なり、犬の糖尿病は生涯インスリンの投与が必要となるケースが多いことが知られています。そのため定期的な血糖測定が必要となり、また他の疾患の併発にも注意しなければなりません(例えば、腎障害、感染症、神経障害、白内障など)。