▸病態
猫の口内炎は難治性のことが多く、慢性歯肉口内炎と呼ばれるものもあります。
発症要因については現在のところ直接的な単一の要因は明らかになっておらず、ウイルスや細菌、また口腔内細菌の多様性の低下、またこれらの口腔内微生物に対する過剰な免疫反応などによる複合的な要因が指摘されています。
▸臨床症状
口腔内の疼痛、流涎、口からの出血、食事量の低下、食事中に奇声をあげる、食事を中断する、性格の変化、前肢の被毛の汚れ、口臭、下顎リンパ節の腫脹など非特異的なものが多いです。症状が進行すると、食物や水を摂取できなくなり脱水、削瘦してしまうことがあります。また口内炎を起こす疾患として猫では腎不全や糖尿病もあります。
治療には抗生剤の投与や抗炎症剤の投与、CTSレーザー照射、オゾン療法、インターキャット、歯周病の治療、消毒液による口腔内の洗浄、薬剤塗布などがありますが、これらは対症療法であり、猫の免疫力・抵抗力を上げることが根本的な治療に繋がります。
また、細菌が付着・増殖する場所である歯を抜くことで口内炎が80パーセントで改善するという報告もありますが、これらの治療を行っても難治性口内炎では完治しないということもあるため、定期的な治療や検診が必要になります。
キキちゃんのケース (歯肉口内炎)
以前から歯肉口内炎が酷く、ご飯が食べづらいということで鎮痛剤、抗菌剤、抗炎症剤で処置を行っていましたが再発を繰り返すので、全臼歯抜歯することになりました。
手術後はしっかりご飯も食べられるようになり、元気に退院されていきました。