和歌山動物医療センター

和歌山県岩出市の和歌山動物医療センターでは犬、猫、小動物の予防接種、去勢手術を行っています。

 

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病院便り

猫のリンパ腫について



リンパ腫とは
リンパ球が癌化した腫瘍で、猫の全腫瘍の約50~90%を占める悪性腫瘍です。リンパ節や脾臓などのリンパ組織から発生しますが、全身の組織から発生する可能性があります。

症状
体の色々な部位に腫れたリンパ節が感じられる、体重減少、食欲不振、嘔吐と下痢、 呼吸困難など



原因
・猫白血病ウイルス(FeLV)や猫免疫不全ウイルス(FIV)に感染している
・受動喫煙に暴露されている


診断
身体検査、血液検査、レントゲン検査、超音波検査、CT検査、病理組織学的検査などを行います。

治療

化学療法
一般的な治療法の一つになります。腫瘍細胞の成長を抑制または破壊するために、抗がん剤を使用します。リンパ腫の種類や進行度、猫の全体的な健康状態に応じて、治療計画が異なります。
治療は通常、獣医師の監督の下で行われ、経口薬または注射で投与されます。
治療期間は、リンパ腫の種類や反応によって異なりますが、数週間から数ヶ月にわたって行われます。
治療中は、定期的な血液検査や健康チェックが必要で、副作用の管理も重要といえます。
化学療法の副作用には、食欲不振、嘔吐、下痢、脱毛などがありますが、通常、治療の終了後に改善します。


外科手術
外科手術の目的は、腫瘍組織を物理的に切除し、病気の進行を抑制または取り除くことです。
特に特定の臓器や組織に限定されている場合に効果が期待できます。例えば、消化管リンパ腫の場合、影響を受けた腸の部分を切除することで、症状の改善や進行の遅延を図ります。しかし、リンパ腫が複数の部位に広がっている場合や、全身性のリンパ腫の場合には、外科手術だけでは十分な治療ができないことがあります。
手術後は回復と健康状態のモニタリングが必要となります。手術にはリスクが伴うため、全体的な健康状態、リンパ腫の種類、進行度を考慮して手術の適用を決定します。


放射線治療
治療できる施設が限られています。
予防
猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルスに対するワクチン接種が効果的です。外に出ている猫には一層の注意が必要です。

チーちゃんのケース


他院より、「バリウム造影検査において、食道に何か詰まっているので、内視鏡検査をお願いしたい。」と紹介されました。  当院におけるレントゲン検査で、胸水を認め、胸腔内の腫瘍が疑われましたが、食道内にもバリウムがはっきり残っているため、飼い主様の希望により内視鏡検査を行いました。 内視鏡検査では異物は認めず、食道が胸腔側から圧迫を受け、狭くなっていました。  細胞診断検査において悪性リンパ腫と診断されました。胸腔内のリンパ節の腫瘍化により食道が圧迫され、飲食物の不通過が症状を引き起こしていたものと考えられます。抗癌剤を使わない内科治療での改善を希望されています。

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