▸病態
犬では50%が悪性と言われていますが、猫では悪性が80%と言われています。避妊手術を若い時期にしていると発症率は下がります。主に外科療法が中心となりますが、病理検査により化学療法を行うか決めていきます。
チョコちゃんのケース (乳腺腫瘍切除手術)
以前、他院で「この腫瘍はまだ小さいので様子を見ましょう。」と言われ、様子を見ていたそうです。その後、しばらくして急に大きくなってきたので当院に来院されました。
腫瘍はとても大きく、腹部の横幅と同じくらいの大きさになっていました。15歳という高齢で、さらにひどく貧血していたのでチョコちゃんも弱っていました。
手術の前日にお預かりして輸血を行い、手術に挑みました。
腫瘍の浸潤はひどく、腹膜にも達していたので、腹筋の一部も一緒に切除することになりました。 全身状態が悪く、リスクの高い状況での手術でしたが、術後の経過は良好で、すごくご飯も食べるようになり、元気に退院されました。
サラちゃんのケース
(乳腺腫瘍切除手術と副腎腫瘍の摘出手術)
乳頭が腫れているため診察に来られました。乳頭の腫れと共に付近の乳腺が硬くなっていたので細胞診をした結果、化膿性炎症を伴う乳腺腫瘍が疑われ、切除手術をすることになりました。ところが、手術前検査でCT検査したところ、手術予定の乳腺以外に、右副腎にも腫瘤があることが確認されました。
副腎腫瘍は、将来的な血管浸潤や転移の恐れもあるため、まず乳腺腫瘍の摘出を行い、抜糸後に右副腎摘出手術を行うこととなりました。
腫瘍化した右副腎は、大きな動脈が流入するだけでなく、体内で一番太い静脈と癒着しており、難易度の高い手術でしたが無事手術を終え、入院治療後元気に退院されました。摘出した組織は副腎皮質腺癌でした。
マリちゃんのケース (乳腺腫瘍)
健康診断の血液検査で肝数値に異常がみられ、通院されていました。診察中に左第一乳腺付近に腫瘤がみられ、病理検査を行いました。検査結果で乳腺腫瘍の疑いがあると分かり、切除手術を受けられました。
傷口もきれいになったところで退院されました。