▸病態
副腎腫瘍の50%は悪性腫瘍で組織学的には副腎の外側である皮質の腫瘍(腺腫、腺癌)、内側である髄質の腫瘍(褐色細胞腫)に分類されます。副腎腫瘍は局所浸潤性が強く、転移率も高いと言われています。特に副腎皮質の腫瘍は副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群ともいわれます)を示し、多飲多尿や腹囲膨満、左右対称性脱毛などの症状がみられることがあります。
サラちゃんのケース(乳腺腫瘍切除手術と副腎腫瘍の摘出手術)
乳頭が腫れているため診察に来られました。乳頭の腫れと共に付近の乳腺が硬くなっていたので細胞診をした結果、化膿性炎症を伴う乳腺腫瘍が疑われ、切除手術をすることになりました。ところが、手術前検査でCT検査したところ、手術予定の乳腺以外に、右副腎に腫瘤があることが確認されました。
副腎腫瘍は、将来的な血管浸潤や転移の恐れもあるため、まず乳腺腫瘍の摘出を行い、抜糸後に右副腎摘出手術を行うこととなりました。
腫瘍化した右副腎は、大きな動脈が流入するだけでなく、体内で一番太い静脈と癒着しており、難易度の高い手術でしたが無事手術を終え、入院治療後元気に退院されました。摘出した組織は副腎皮質腺癌でした。