病態
消化管はいくつもの層から構成されていますが、この病気はその中の粘膜固有筋層という層に存在する細長い形の細胞(紡錘形細胞)が腫瘍化してしまう病気です。小さければ無症状であることもありますが、サイズが大きくなると消化器症状がみられることもあります。犬において盲腸や小腸、胃での発生が報告されており、猫でもまれに発生することが報告されています。
ミールちゃんのケース (小腸腫瘍)
ミールちゃんは、何日も前からスープ状のものしか飲めない状態で、非常に弱ってきたので、地元の病院の紹介で、大阪の二次診療病院に行って診察を受け、エコーで腸に大きな腫瘍が見つかりました。
そこでは、「ひどく貧血しているが適合する血液がないため輸血ができず、麻酔もCT検査も出来ない。」とのことで、地元の病院の紹介で当院を受診されました。
当院でもエコーで腸に大きな腫瘤は確認されましたが、来院時は貧血がもっと酷くなっており、瀕死状態で、手術できる状態では無かった為、輸血をして様子が落ち着くのを待つことに。点滴、内服を続けて9日後には何とか少し状態が安定し、手術となりました。
手術中はずっと輸血を行いながらとなりましたが、通過障害を起こしていた小腸の中高度悪性腫瘍(GIST)を無事切除出来ました。
止まりにくかった術後の出血も翌日には止まり、ゆっくりですが、確実に元気を取り戻していき、見事、退院することができました。最近は食べて、便もよく出て元気だそうです。
ルナちゃんのケース (左前肢腫瘍)
左前肢の悪性腫瘍のために肩からの断脚手術をうけられ、元気に退院されました。
甲斐ちゃんのケース (前立腺膿瘍)
甲斐君は、数日前から食欲、元気がなく、尿の回数は多いが、尿が出にくくて痛がると、地元の病院の紹介で来院されました。
各種検査の結果、前立腺がひどく腫大しており、発熱、排尿困難がみられ、腎臓に負担がかかり、BUN,クレアチニンも上昇、組織検査の結果で前立腺膿瘍と診断。
衰弱していましたが、手術は無事に終わりました。術後は合併症もなく見違えるほど日に日に元気になって退院されました。 今日は、元気な様子を見せに来てくださいました。