‣病態
外耳炎はよく見られる疾患です。耳は外耳、中耳、内耳に分かれており、特に耳炎の主体となるのが外耳炎です。
軽い外耳炎では耳の内側が赤くなったり、耳の汚れや悪臭がみられます。また、耳や頭部の痒みにより頭部を後ろ脚で掻いたり、頭を頻繁に振る行動がみられることがあります。
外耳炎の炎症が強いときは、強い痛みから頭部を触られるのを嫌がったり、活動性が低下してしまうこともあります。外耳の炎症が中耳、内耳まで及ぶと、首を傾ける、まっすぐに歩けない、ふらつくなどの症状が出てきます。中耳、内耳炎になると治療が長引いたり、手術が必要になる場合があるため、早い段階での検査および治療をお勧めします。
外耳炎が起こる原因としては皮膚炎、角化異常、寄生虫性、自己免疫性疾患、免疫介在性疾患、感染症、異物、外傷などがあります。このように外耳炎の原因はさまざま存在するため、慎重に検査を行い、根本的な原因に対して治療を行う必要があります。外傷や異物による一時的な外耳炎は治りますが、生まれつきの脂症やフケ症、垂れ耳の犬、アレルギー性皮膚炎やホルモン異常などの病気が存在する場合は症状が治まった後もよい状態を維持するために治療が必要になります。また、慢性的な外耳炎や再発する外耳炎ではレントゲン、オトスコープ(耳の内視鏡)、CT検査、培養検査や病理検査など詳しい検査が必要になる場合があります。その外にも耳の中の腫瘍や慢性的な外耳炎で耳の穴が狭くなってしまっている場合は手術が必要なこともあります。
てんちゃんのケース (鼓室胞骨切術で鼻咽頭ポリープ摘出)
数カ月前に飼い始めた時から、鼻づまりで呼吸音がおかしく、耳を気にして掻き、声がこもっているうえ、水を飲むとむせ、食後はえずくため、セカンドオピニオンとして当院に来院されました。
左耳道がポリープで閉塞しており外耳炎を起こしていました。レントゲン画像では左鼓室胞と後鼻腔に異常がみられ、鼻咽頭ポリープが疑われました。
後日CTで詳しく状態を確認し、左外耳と咽頭のポリープ除去手術と腹側鼓室胞骨切術による中耳内ポリープの除去を行いました。
術後入院治療も頑張り、症状の改善もみられ、無事退院されました。
クルミちゃんのケース(全耳道切除)
耳垢腺癌のため、全耳道切除手術及び入院治療を受けられました