前十字靭帯断裂とは、太ももの骨と、すねの骨を繋ぐ十字靭帯が断裂してしまう疾病です。前十字靭帯は大腿骨に対して脛骨が前に飛び出さないようにする働きがありますが、断裂すると膝関節が不安定となり力が入らなくなります。また同時に内側半月板という大腿骨と脛骨の間のクッションも損傷する事が多く痛みを生じ歩行に異常をきたします。内科的療法は体重が軽く、膝蓋⾻脱⾅などの他の障害が併発していない時に鎮痛剤の投与と安静で様子を見ますが、内科的療法に反応しない場合が多く認められます。
外科的療法は、内科的療法に跛⾏が改善しない⼩型⽝、10kg以上の中⼤型⽝で適応します。また、前⼗字靭帯の損傷に加え膝蓋⾻脱⾅や半⽉板損傷などが前⼗字靭帯断裂に併発している場合にも適応となります。
手術方法は⼀般的に行われている人工靭帯を用いた関節外法の他、脛骨高平部骨切り術(TPLO)、脛骨粗面前進術(TTA)などがあります。
▸病態
橈尺骨とは動物の前肢を構成する骨を表します。ベッドやソファーなどの高いところからジャンプし、着地したときなどの衝撃がきっかけとなり骨折することが多いです。小型犬に多く発生し、ギブス固定や、手術になります。
▸病態
本疾患は大腿骨頭および骨頸部に発症する疾患で、大腿骨頭への血液供給が制限または阻害されることにより、股関節の変形性関節症を招きます。成長版が閉鎖していない小型犬に多く見られ、通常は大腿骨の無菌的壊死が認められます。
▸臨床症状
1歳未満の若齢犬で後肢の非荷重性跛行がみられ、後肢を挙上するような様子が見られます。通常は片側が多いですが、両側にみられることもあります。
▸診断
身体検査では股関節の可動域の減少と外反および進展時の疼痛が認められます。またレントゲン検査、CT検査では大腿骨頭の扁平化や壊死股関節の亜脱臼などが認められます。
▸治療
非ステロイド性消炎鎮痛剤と運動制限での保存療法をし、疼痛管理を行うこともありますが、症状が持続、進行する場合、大腿骨頭骨頸切除術を行います。
▸病態
犬の軟口蓋は先が気管の蓋(喉頭蓋)の先端と重なるか重ならないかほどの長さが正常であるとされています。したがって喉頭蓋の先端を超えて披裂軟骨など尾側にまで進展している状態が軟口蓋過長であると診断します。主に短頭腫で多く発生することが報告されています。
▸臨床症状
一般的な臨床症状はいびきや喘鳴音で多くの場合開口呼吸を伴っています。努力性呼吸、重度であるとチアノーゼ(舌の色が青紫色に変化)、失神が見られるものがあります。
▸診断
診断は臨床症状と画像所見を基に行います。レントゲン、CT所見では咽喉頭部において軟口蓋の尾端が顕著に喉頭蓋先端よりも尾側に位置していることが確認できます。また内視鏡検査で直接咽喉頭部を観察することで診断を行います。
▸治療
最も有効な治療法は過長部の外科的切除です。重度の臨床兆候を示す場合には部屋のインドを下げ、咽喉頭部の炎症や浮腫を軽減するために消炎剤を様とします。また軽度である場合、体重減少や運動制限、適度な温度管理などが必要となります。
‣病態
膀胱結石は膀胱内に結石が存在する状態を表します。膀胱結石の場合、ストルバイト結石という種類が多いことが知られています。品種や品種以外のリスクファクター(解剖学的尿路構造や性ホルモンなど)、尿路感染症、門脈体循環シャントや副腎皮質機能亢進症などの関連が報告されています。
‣臨床症状
疼痛や血尿、尿路閉塞などが原因となり排尿障害などが見られます。
‣診断
上記の臨床症状やレントゲン検査、エコー検査などの画像診断により結石の存在を確認します。また尿検査を行うことで尿路系の感染や炎症及び出血、されには形成された結石に関連した多くの情報を得ることができます。
‣治療
ストルバイト結石の場合食事療法や抗菌薬の投与などの内科的療法が選択されます。また結石がシュウ酸カルシウムの場合、食事療法などでは溶解させることができず、外科的治療が選択されます。
▸病態
尿は腎臓から尿管を介して膀胱に溜まり、尿道を通って排泄されますが、尿管結石は腎臓で形成された結石が尿管を通る際に詰まってしまう病気です。
▸臨床症状
尿管結石の臨床症状は非特異的であると言われており、腹部触診による疼痛や体重減少および頻尿や血尿が見られる場合があり、また腎不全を発症しているケースも多く見られます。
▸診断
腎臓や尿管の結石は偶発的にレントゲン検査やエコー検査で見つかる場合が多く、尿管結石はX線で、エコー検査では尿管に石が詰まることで腎盂が拡張している(水腎症)所見も見られます。
▸治療
一部の結石は食餌療法や抗生剤の投与などの内科療法に反応する場合もありますが、重度の閉塞が疑われる場合は外科治療が必要です。
▸病態
臨床症状 主に排尿障害(頻尿、排尿困難等)が見られます