▸病態
尿道閉塞の原因として最も多いのは結石、結石の砂粒状物質によるものですが、その他にも血餅などの凝固物、炎症産物、組織片、腫瘍、外傷、線維症、尿道栓子などもあります。
▸臨床症状
膀胱炎を生じている場合、排尿時に痛がるような様子や頻尿血尿がみられることがあります。また完全な尿道閉塞が発生した場合、突発的な急性腎障害に陥り、尿が排泄されない尿毒症が発症します。そのような場合食欲不振や、嘔吐、下痢など様々な症状が認められます。
▸診断
膀胱の触診やレントゲン、エコー検査を行い、結石の有無や貯尿量を確認します。また血液検査による腎数値の確認、膀胱穿刺による尿検査なども必要になります。
▸治療
細菌性膀胱炎症状の場合、抗生物質の投与を行います。また尿道に結石が詰まっている場合、麻酔下で陰茎の先からカテーテルを挿入し、生理食塩水を流し閉塞の解除を行い、腎数値によってはカテーテルを留置し、持続点滴で尿量を増やし腎臓の負担をへらします。しかし閉塞を解除できない場合や、良くなっても度々閉塞を繰り返す場合は、猫の会陰部に 尿道を再建する会陰尿路造瘻術を行う必要があるケースもあります。
▸病態
子宮蓄膿症は比較的中高齢の未経産の子で多く見られる疾患です。細菌感染による炎症から子宮内に膿が貯留する疾患で、黄体ホルモンが深く関与していることが知られています。外陰部から膿が排膿される開放性子宮蓄膿症と排膿されない閉鎖性子宮蓄膿症に分類され、後者はより症状が重い傾向にあり、卵巣にも異常をきたします。
▸臨床症状
一般に食欲不振、元気消失、発熱、多飲多尿、嘔吐や腹部膨満が認められます。
▸診断
臨床症状や外陰部からの排膿(ない場合もあります)、白血球の増加やエコー検査やレントゲン検査による子宮内の液体貯留が認められた場合に本疾患を強く疑います。
▸治療
一般的には外科手術による卵巣・子宮摘出が選択されますが、今後繁殖したい場合や高齢で麻酔や手術のリスクが高い場合、内科的治療が選択されますが、外科的処置と比較して再発するリスクは高くなります。
腎臓病
慢性腎臓病
▸病態
腎層の働きが徐々に悪くなって起きる病気です。また、腎臓型リンパ腫、多発性嚢胞腎といった猫に特異な腎疾患でも腎障害が生じます。一度障害されてしまった腎臓の組織は回復することがないため、病気の進行を遅らせることが治療の目的になります。
▸臨床症状
初期には多飲多尿の症状が見られ、進行すると脱水による体重減少がみられます。さらに進行すると尿毒が体内に蓄積されることで尿毒症に陥り、食欲不振や嘔吐、消化器系をはじめとするさまざまな器官に影響を及ぼし、全身状態の悪化に陥ります。
▸診断
慢性と診断するには一度の検査では難しいため、必要な治療を行いながら定期的な検診によって病態の把握を行います。
▸治療
慢性腎臓病が発覚した場合、定期的に状態を評価し把握することで、できる限り長く安定した状態を維持できるようになります。腎機能が低下すると尿を濃縮できなくなるため、脱水が起こりやすくなり、さらに腎臓に負担をかけてしまいます。そのため、治療として点滴や積極的な水分補給による脱水の予防および老廃物の排泄を促します。また、腎臓の負担を軽減するための食事療法や薬物療法などを行います。しかし、治療を行っていても少しずつ病気は進行していってしまいます。病気が進行すると、貧血、口内炎、脱水などの症状が起き、全身状態が悪くなっていきます。その時々の対症療法を行うことで状態が改善する可能性があります。
急性腎不全
急性腎不全とは急激な腎機能の低下により生体の恒常性を維持できない状態をいい、電解質バランスの乱れや体液量の異常がみられます。臨床症状として食欲不振や嘔吐、乏尿などの症状がみられることがあります。腎機能の低下する原因によって異なる治療法が選択され、早期診断、早期治療を行うことで腎機能の回復することもありますが、中には完全には回復せず慢性腎臓病に移行することや無尿乏尿が続く場合は死にいたる場合もあります。
胆嚢炎、胆嚢粘液嚢腫、胆嚢破裂
胆嚢破裂
▸病態
胆嚢破裂は胆嚢粘液脳腫や急性壊死性胆嚢炎、肝外胆管閉塞などにより生じ、胆嚢の中に存在する胆汁が腹腔内にでることで腹痛、食欲不振や嘔吐、下痢、虚脱など非特異的な症状が認められ、腹膜炎や黄疸が見られます。犬の胆嚢炎は早期発見と早急な治療が必要です。
概要
体の様々な臓器・組織は、小さな細胞が集まってできています。これら細胞は、必要な時に増殖し、必要でない時には増殖しないように、うまくコントロールされています。
しかし、遺伝子の変異などの異常により、このコントロールがうまくいかなくなると細胞が増え過ぎてしまい、できものになってしまいます。こうして作られてしまったできものが腫瘍で、良性と悪性があります。