▸病態
体表にしこりができる疾患は多岐にわたり、年齢や犬種、性別、病変部位など様々な情報から総合的に判断する必要があります。
▸臨床症状
腫瘤は皮膚の増生や炎症、良性腫瘍や悪性腫瘍など考えられます。
▸診断
大きさや外観、進行の早さ、数などを加味したうえで、針でしこりの生検(針生検)やパンチバイオプシーをすることで診断がくだる場合もありますが、外科的切除を行い病理学的検査行わなければならない場合もあります。
▸治療
腫瘤のタイプによって治療法が異なってきますが早期発見は早期治療につながるため、発見した際は早めの受診が重要となります。
リンパ腫とは血液の細胞であるリンパ球が腫瘍性に増殖する悪性腫瘍です。
犬の腫瘍中では発生率が高く若齢犬から主に中高齢に発生します、その発生部位によって症状や治療に対する反応が異なってきます
骨肉腫
骨肉腫とは、骨の組織の悪性の腫瘍です。
骨肉腫は人と比べると、犬では多く発生し、犬では特に大型犬発生します。
骨肉腫は骨格系に発生する悪性腫瘍の85%を占めます。
肥満細胞腫
▸病態
犬の肥満細胞腫は皮膚がんの中でも一番多いがんです。肥満細胞種の発生原因はまだはっきりしていません。
グレード3まで進むと予後は短い傾向にありますので、定期的健康診断で、早期発見、早期治療が大切です。
血管周皮腫
▸病態
血管周皮腫とは軟部組織肉腫の中のひとつに分類され、四肢に多く発生することが知られています。転移率などは低いですが十分な切除範囲(「マージン」といいます)を確保し切除しなければ再発する可能性の高い腫瘍です。
病態
消化管はいくつもの層から構成されていますが、この病気はその中の粘膜固有筋層という層に存在する細長い形の細胞(紡錘形細胞)が腫瘍化してしまう病気です。小さければ無症状であることもありますが、サイズが大きくなると消化器症状がみられることもあります。犬において盲腸や小腸、胃での発生が報告されており、猫でもまれに発生することが報告されています。
▸病態
脂肪腫は分化した脂肪組織からなる良性腫瘍で、犬の皮下腫瘤で最も多いと報告されています。本来体のどの部位でも発生しうるものです。脂肪肉腫という悪性の腫瘍もあります。
▸臨床症状
臨床症状としては腫瘤による隣接臓器への圧迫などによる症状が見られものもあり、脂肪肉腫という悪性の腫瘍もあります。
▸診断
脂肪腫は良性腫瘍ですが、他の腫瘍と区別が必要となるため細胞診を行います。
▸治療
病巣の増大が早い、また大きいので他の隣接臓器を強く圧迫して健康に影響を及ぼしている場合等においては外科的切除も選択肢となります。術前の浸潤度の評価はエコー検査やCT検査が推奨されます。
▸病態
てんかんは脳の慢性疾患で、脳内の神経細胞に突然発生する激しい電気的興奮によって発作が起きます。
落ち着きがない、筋肉にけいれんを起こす、よだれが出る、床を舐める、遠吠え、全身の筋肉を突っ張る発作、手足などを震わせる、全身が脱力して一時的に意識がなくなるが直ぐに元に戻る、重度の場合は1日のうちにも発作を繰り返す、発作が連続してしまう等色々な症状がありますが、速やかな受診が望ましいです。
発作を繰り返す場合、抗てんかん薬を投与します。症状が進んでからでは、薬が効きにくく、早期に始める方が制御しやすいです。原因不明又は遺伝に関連する(特発性てんかん)と、脳障害による(症候性てんかん)、全身性疾患による(反応性発作)に分けられます。
発作の原因を詳しく調べるにはMRI検査・脳脊髄液検査・神経学的検査・血液検査等が必要になります。
▸病態
本疾患は僧帽弁の閉鎖不全により左心房に血液が逆流し、肺高血圧症や心拡大などが認められる心疾患です。
▸臨床症状
閉鎖不全初期には心拡大を示しませんが、病態が進行すると左心の拡大が起こり、うっ血性心不全やそれに伴う肺水腫、肺高血圧症などの症状がみられます。
▸診断
心原性肺水腫はレントゲン検査、心臓のエコーで診断されることが一般的で左心拡大や肺胞パターンが認められることもあります。また心疾患では3~6か月毎の定期的なECG、血圧、心臓のエコー検査も重要です。
▸治療
症例の重篤度により治療法は異なってきます。鎮咳薬の投与をする事もありますが、抗心不全薬の投与やループ利尿薬の過不足のない投与が重要になります。また、フードの変更も必要です。定期的診察が必要です。